(注意)こちらは、2023年6月発行の、院内広報キトキト第63号の記事の一部です。
こんにちは。6月になりました。
第59号で「バーニングマウス症候群(口腔内灼熱症候群)」を取り上げました。
バーニングマウス症候群は原因が不明のため、現在、明確な治療法はないとされ、緩和療法が中心とされます。
その中で、海外ではこの症状の緩和に対し、「クロナゼパム」という、抗てんかん薬の性質を備える、ベンゾジアゼピン系薬の効能が評価されているようです。
ある研究では、局所投与、全身投与、短期・長期投与のいずれにおいても、陽性の治療効果が確認されたとのことです。
日本で発売されている「クロナゼパム」の添付文書によりますと、
【効能又は効果】
・小型運動発作(ミオクロニー発作、失立(無動)発作、点頭てんかん(幼児けい縮発作、BNSけいれん等)
・精神運動発作 ・自律神経発作
となっており、バーニングマウス症候群(またはそれに準じた疾患)には適応外
(つまり、保険適応ではない)となります。
【禁忌】
本薬剤に過敏症の既往のある方、急性閉塞隅角緑内障の方、重症筋無力症の方には禁忌(投与しないこと)とされております。
【重大な副作用】
依存性、呼吸抑制、睡眠中の多呼吸発作、刺激興奮、錯乱、肝機能障害・黄疸の記載があります。
【その他の副作用】
眠気(24.7%)ふらつき(15.6%)、喘鳴(5%以上)他、多数の副作用報告があります。
参考:口腔顔面痛の診断と治療ガイドブック第2版 2016 日本口腔顔面痛学会
あくまで院長ひでかず個人の考えですが、薬を使わずによくなるならば、それに越したことはないと思います。
薬を使用するならば、薬の効能または効果と副作用を考慮のうえ、極力、副作用の心配が少なく、効果が見込めるものをまず選択したいと考えます。
私はバーニングマウス症候群に対し、上記のクロナゼパムは、効能又は効果に未記載(保険が利かない)、副作用を考えると、その選択は極めて慎重を要すると考えます。
最後までご覧いただきありがとうございました。
ひでかず歯科口腔外科クリニック
院長 佐藤英和