院長ひでかずのブログ

ひでかず歯科口腔外科クリニック、院長の佐藤英和です。「院内広報キトキト」のテーマ記事、「院長ひでかずの小話」などを掲載していきます。皆様に少しでもお役に立ましたら幸いです。

子どもの口腔粘膜の異常② 腫瘤(こぶ・かたまり)の形成【院内広報キトキト第71号】

(注意)こちらは、2024年2月発行の、院内広報キトキト第71号の記事の一部です。

 

 こんにちは、2月になりました。

今号は前号に続き、子供の口腔粘膜の異常を少し取り上げます。

 

上皮真珠(歯肉のう胞)

 歯が生える前歯ぐきにできる、1~3ミリの小さな真珠のような腫瘤です。

お口の発育の過程で生じるものとされます。自然消失が期待され、経過観察になることがほとんどのようです。上あごの真ん中にできるもの(エプスタイン真珠:軟口蓋と硬口蓋の移行部の正中に生じるもの)もあります。

 

粘液のう胞

 何らかの原因で、小さな唾液の工場(唾液腺)からのパイプ(導管)に傷がつき、粘液(唾液)が漏れたものを、周りの組織が包み込んでできたものと考えられます。下唇に発生することが多く、大きさは数ミリから1cm程度です。咬んで潰れてしまうこともあります。手術が一般的ですが、なかには極力刺激をしないで経過観察すると、やがて自然に消失する例もあるようです。舌の下(口底)に発生する大きなもの(ラヌーラ)や、舌の裏の前のほうに発生するもの(ブランディン・ヌーンのう胞)もあります。

 

萌出期のう胞(萌出期血腫)

 歯が生えるときに生じる、青紫色のドーム状の腫瘤です。歯が生えた後は自然に消失するため、経過観察となることがほとんどのようです。

 

エプーリス

 歯ぐきにできる痛みのない腫瘤です。上の前歯の歯ぐきによくできるとされます。必要により手術の適応となるようです。生まれつきみられることもあります(新生児エプーリス)

 

その他の腫瘤もございますが、(広報紙面の)スペースの都合により、省略します。

お子様のお口にもし腫瘤を発見したら、医療機関の受診をご検討くださいませ。

 

 

参考:坂下 英明 子どもの口腔粘膜の異常・病変 令和2年度 日歯生涯研修ライブラリー

 

 

 

ブログではスペースに余裕がございますので、ここからは、その他の腫瘤も取り上げます。

血管腫

 血管が形成される過誤腫(かごしゅ:特定の細胞が臓器内で過剰に増殖した状態。腫瘍と奇形の中間的な存在(難病情報センター 用語集より))で、血管の異常な拡張が特徴です。生まれつき認めることもあるようです。表面は暗い赤色で、柔らかく扁平または隆起し、押すと色が消えることが多いです。治療は手術などになるようです。

 

・リンパ管腫

 リンパ管の増殖からなる過誤腫です。生まれつき認めることが多く、10歳までに発症するようです。口の中ではに多く発生し、口蓋、頬粘膜、歯肉、口唇にも発生するとされます。浅いところにあるものは、粘膜表面の色は普通で、半球形の小さな乳頭状の突起を認めるようです。深いところにあるものは、表面は普通で、痛みもなくはっきりとみえない、柔らかな腫瘤を形成するようです。治療は手術になるようです。

 

神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)

 外胚葉由来のシュワン細胞(神経の一部分を作り維持する細胞と考えてよいかと思います)から発生し、弾力のある硬さ、動かせる、痛みのない腫瘤として認められるようです。口の中ではに発症することが最も多いようです。頬粘膜、口底、口蓋などにも発生するようです。治療は手術になるようです。

 

・骨性分離腫

 口腔粘膜に発生する骨性の病変とされ、比較的まれな特異的な過誤腫のようです。

自覚症状はほぼ無いようです。検診の際に偶然見つかるかもしれません。治療は手術となるようです。

 

唾石症(だせきしょう)

 唾液腺やその導管の中に結石(唾石)ができ、唾液腺が腫れたり、痛みが出たり、炎症が生じるなどがみられることもある一方、まったく自覚症状がなく、たまたまレントゲンに写って見つかることもあるようです。治療は、口の中から摘出できるものもあれば、全身麻酔による手術が必要な場合までさまざまのようです。

 

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最後までご覧いただきありがとうございました。 

ひでかず歯科口腔外科クリニック 

院長 佐藤英和