院長ひでかずのブログ

ひでかず歯科口腔外科クリニック、院長の佐藤英和です。「院内広報キトキト」のテーマ記事、「院長ひでかずの小話」などを掲載していきます。皆様に少しでもお役に立ましたら幸いです。

突然、口の中に血豆ができた【院内広報キトキト第42号】

(注意)こちらは、2021年8月発行の、院内広報キトキト第42号の記事の一部です。

 

 暑中お見舞い申し上げます。8月になりました。

 当院に、口の中に突然大きな血豆ができたというお訴えで受診いただく方がいらっしゃいます。

 多くの方は、食事中や食後に、上あごの奥(軟口蓋)のあたり、つまり誤って咬むようなところではない箇所にできたり、頬の内側や舌の横など、一見すると誤って咬んでしまいやすいところに血豆ができているのですが、ご本人はそのような記憶がなかったりしています。

 院長ひでかずが病院勤務時代の当直業務中、年に1~2度そのような方を経験しました。その際に上司からの教えが「Angina Bullosa Haemorrhagica(以下、ABHと略します)」というものでした。日本語の相当する病名がなく、成書でもなかなか見かけず、原因がよくわかっていない病気です。

 このような症状が出た際に、血の止まりにくい傾向がないか、あるいは次々に口や皮膚に水疱や血豆が繰り返し多発していないか、は他の病気との鑑別のポイントとなります。血豆が潰れると大きな口内炎のようになり、食事時に痛みを伴う方もいらっしゃいますので、症状の緩和を目的に対症療法を検討いたします。

 

 海外のレビュー(*1)によると、発症の平均年齢は約55歳、口蓋の症状が66%、再発率は62%とのことです。

 

 ABHに限らず、ほかの病気の可能性もありますので、もし症状が現れた際は、まず診察を受けることをご提案いたします。  

 

(*1) Angina Bullosa Haemorrhagica: a systemic review and proposal for diagnostic criteria : U Ordioni et al. Int J Oral Maxillofac Surg. 2019 Jan.

 

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最後までご覧いただきありがとうございました。

ひでかず歯科口腔外科クリニック

院長 佐藤英和