院長ひでかずのブログ

ひでかず歯科口腔外科クリニック、院長の佐藤英和です。「院内広報キトキト」のテーマ記事、「院長ひでかずの小話」などを掲載していきます。皆様に少しでもお役に立ましたら幸いです。

唇の皮がむける【院内広報キトキト第67号】

(注意)こちらは、2023年10月発行の、院内広報キトキト第67号の記事の一部です。

 

 こんにちは。10月になりました。

 今回は、「剥離性口唇炎(はくりせいこうしんえん)」について少しお話します。

 

【概要】

 主に下唇に生じる、湿った黄褐色のかさぶたや、皮めくれ(落屑)が生じ、自分でそれをむいてしまい、それを何度も繰り返す疾患で、難治性とされます。

 子どもに多く見られる一方、成人にも時に見られます。精神的なストレスも関係があるとされます。

 薬を使っても、自分で唇の皮をむいてしまうため、症状を繰り返してしまうようです。

 

 当院での診察の際には、自分の唇の皮をむいてしまったり、なめてしまったりする癖があるかどうか、栄養が不足していないかどうかを質問すること、歯や入れ歯の刺激があるかどうか、を確認するようにします。

 

 

 対応の方針は、唇の乾燥や亀裂を放置すると悪化するため、①癖をやめること、②刺激となるものあれば取り除くこと、③乾燥防止に保湿ケア指導、④症状がひどければステロイド含有軟膏 ビタミンB2不足の可能性があれば、ビタミンB2配合製剤の処方 を検討します。

 リップクリームや非ステロイドの外用薬の使用が、かえって悪化することもあるようです。

 

参考: 口腔内科学 永末書店

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ひでかず歯科口腔外科クリニック 

院長 佐藤英和

身体表現性障害(身体症状症)【院内広報キトキト第66号】

(注意)こちらは、2023年9月発行の、院内広報キトキト第66号の記事の一部です。

 

 こんにちは。9月になりました。

 今回は、「身体表現性障害(しんたいひょうげんせいしょうがい)」について少しお話をします。

2023年11月補足:現在は、身体症状症という言葉になっているようです。

当院のような、口などからだを診る科において、患者さんの訴えに、診察や検査の所見が見合わない、という場合に考える概念のひとつで、左記後述共通概念が存在しております。

 

【身体表現性障害の共通概念】

患者さんの訴えに対し、

医師の診察では、からだには訴えに見合う明らかな所見は見られず

医師からは「大丈夫」と保証しているにもかかわらず、

医学的な検査等を執拗に求め繰り返しからだの症状を訴える

また、からだに所見が存在したとしても

それが患者さんの訴えや悩みを説明するものではない

 

患者さんは、

心理的な原因の可能性について医師から説明受けたりその検索を進めることに、

抵抗や拒否をする

しばしば、患者さんは

症状の原因検索のための診察や検査が自分には必要だということを、

医療者に説得できず、

怒ったり注意を引こうとしたりする。

 

 当院は、「症状を伺い、考えられる疾患をご説明の上、必要な検査・診断・治療などを行う」という流れには、お互いの信頼関係があって成り立つと考えております。

 

参考:こころの病気と歯科治療 2018年 デンタルダイヤモンド社

 

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ひでかず歯科口腔外科クリニック 

院長 佐藤英和

小学生・中学生の口臭の実態【院内広報キトキト第65号】

(注意)こちらは、2023年8月発行の、院内広報キトキト第65号の記事の一部です。

 お暑うございます。8月になりました。

 当院では、お子様の口臭が気になり心配になるご家族の方や、中学生の頃から口臭に悩んでいる方から診察依頼を受けることがあります。

 今回は、東京都学校歯科医会2019年3月発行「においの科学 知っておきたい口臭のABC」を参考に、小学生・中学生の口臭の実態ついて少し情報提供をいたします。

 

 小学校低学年の約3人に1人、小学校高学年や中学生になると約半数に、実際に口臭があるようです。

 口臭の発生に影響するリスク要因が、未処置歯(むし歯など)や歯垢プラークではなく舌苔(ぜったい)であるという結果は、意外に思われるかもしれません。

 舌苔は、揮発性硫黄化合物の中でも、硫化水素(卵が腐ったようなにおい)の占める割合が高いとされます。

 舌の清掃には、舌みがき専用の器具「やわらかい」歯ブラシ(硬いのは舌が傷つきます)で、1日1回、起床直後(朝食前)に行えばよいとされます。

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院長 佐藤英和

 

「クロナゼパム」というお薬【院内広報キトキト第63号】

(注意)こちらは、2023年6月発行の、院内広報キトキト第63号の記事の一部です。

 

 こんにちは。6月になりました。

 第59号で「バーニングマウス症候群(口腔内灼熱症候群)」を取り上げました。

バーニングマウス症候群は原因が不明のため、現在、明確な治療法はないとされ、緩和療法が中心とされます。

 

 その中で、海外ではこの症状の緩和に対し、「クロナゼパム」という、抗てんかん薬の性質を備える、ベンゾジアゼピン系薬の効能が評価されているようです。

 ある研究では、局所投与、全身投与、短期・長期投与のいずれにおいても、陽性の治療効果が確認されたとのことです。

 

 日本で発売されている「クロナゼパム」の添付文書によりますと、

 

【効能又は効果】

・小型運動発作(ミオクロニー発作、失立(無動)発作、点頭てんかん(幼児けい縮発作、BNSけいれん等)

・精神運動発作 ・自律神経発作

となっており、バーニングマウス症候群(またはそれに準じた疾患)には適応外

(つまり、保険適応ではない)となります。

 

【禁忌】

本薬剤に過敏症の既往のある方、急性閉塞隅角緑内障の方、重症筋無力症の方には禁忌(投与しないこと)とされております。

 

【重大な副作用】

依存性、呼吸抑制、睡眠中の多呼吸発作、刺激興奮、錯乱、肝機能障害・黄疸の記載があります。

 

【その他の副作用】

眠気(24.7%)ふらつき(15.6%)、喘鳴(5%以上)他、多数の副作用報告があります。

 

参考:口腔顔面痛の診断と治療ガイドブック第2版 2016 日本口腔顔面痛学会

 

 あくまで院長ひでかず個人の考えですが、薬を使わずによくなるならば、それに越したことはないと思います。

 薬を使用するならば、薬の効能または効果と副作用を考慮のうえ、極力、副作用の心配が少なく、効果が見込めるものをまず選択したいと考えます。

 私はバーニングマウス症候群に対し、上記のクロナゼパムは、効能又は効果に未記載(保険が利かない)、副作用を考えると、その選択は極めて慎重を要すると考えます。

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院長 佐藤英和

「口臭」のにおい【院内広報キトキト第62号】

(注意)こちらは、2023年5月発行の、院内広報キトキト第62号の記事の一部です。

 

 こんにちは。5月になりました。

 今回は、口臭の原因で挙げられる臭気物質が、どんなにおいなのかを取り上げます。

 口臭の評価は、口臭の強弱と左(補足:本ブログでは、下方になります)に挙げます揮発性硫黄化合物硫化水素・メチルメルカプタン・ジメチルサルファイド)の濃度に強い相関が認められるとされ、現在は揮発性硫黄化合物を測定して口臭の程度を評価することが一般的とされています。

 

揮発性硫黄化合物と、そのにおい

硫化水素         : 腐った卵のような臭い

・メチルメルカプタン   : 腐った玉ねぎのような臭い

・ジメチルサルファイド : 腐ったキャベツのような臭い

 

その他の臭気物質のにおい

口臭成分としての検出量は少ないが、においに含まれることもある物質

アンモニア : し尿(小・大便の混合)のような臭い

・ トリメチルアミン : 腐った魚のようなにおい

インドール : 大便のようなにおい 

スカトール : おなら大便のようなにおい

・イソ吉草酸 : むれた足や靴下のようなにおい

酪酸     : バターや乳の腐ったようなにおい

・プロピオン酸: 刺激的な酸っぱいにおい

・カプロン酸 : 汗くさいにおい

・アセトン   : つんとする甘ぐさいにおい

アセトアルデヒド : つんとする酸っぱいにおい

 

参考:

・ においの科学 2019 東京都学校歯科医会

・ 口臭への対応と口臭症治療の指針2014 日本口臭学会

 

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院長 佐藤英和

病気不安症【院内広報キトキト第61号】

(注意)こちらは、2023年4月発行の、院内広報キトキト第61号の記事の一部です。

 

 こんにちは。4月になりました。

 院長ひでかずは、昨年の終盤に病気を患い、当初は症状、仕事や生活への支障から、病気への不安がつきまといましたが、主治医の先生の診察や治療、家族のサポートにより、症状の軽減とともにその不安は和らいでいきました。支えてくださった皆様に感謝です。

 病気を患うこと、患っていることに不安になるのは、当然であると思いますが、しかしそれが度を越えると、「病気不安症」という病気が疑われることがあります。

 

 MSDマニュアル家庭版によりますと、「病気不安症」は、「自分は重篤な病気にかかっている、またはかかりつつあると思い込む精神障害」と、されています。

かつては「心気症」と言われました。

 

・自分は病気にかかっている、あるいはかかっているのではないか、と深刻に心配するため、強い苦痛を感じ、日常の役割を果たすのが難しくなる。

・医療者から徹底的な評価によって重篤な病気が否定されたにもかかわらず、自分は重篤な病気にかかっている、またはかかりつつある、と心配し続ける。

・ささいな身体症状や、正常な身体機能を誤解し、過度の不安を抱く。

 

 これらにより人間関係や仕事などの成績の悪化を来たす可能性もあります。

 その治療は、医療者との協力的な信頼関係が有益とされ、とくに定期的な受診は効果が期待できるようです。症状にあまり改善がみられない場合は、主治医の診察を継続しつつ、精神科医の受診が有益なことがあるようです。

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院長 佐藤英和

 

 

バーニングマウス症候群 (口腔内灼熱症候群)【院内広報キトキト第59号】

(注意)こちらは、2023年2月発行の、院内広報キトキト第59号の記事の一部です。

 

 こんにちは、前回は痛みの種類でした。

 今回は、痛覚変調性疼痛のひとつとされる、「バーニングマウス症候群口腔内灼熱症候群)」についてです。

 

【定義】

 「3か月を越えて、かつ1日2時間を越えて連日再発を繰り返す、口腔内の灼熱感または異常感覚で、臨床的に明らかな原因病変を認めない病態」とされます。

 

【どんな症状】

 疼痛は軽度から重度まで様々あり、疼痛あるいは不快な異常感覚の性質は、「灼けるような」「熱感があるような」「ひりひりするような」という感覚で表現されるようです。しかし、訴えに見合う口腔粘膜の外見上の異常は見当たらないことが多いようです。

 

【どんな方に多い?】

 50歳以降、とくに閉経後の女性に多くみられ、30歳以下では非常に稀とされます。男性にも発症しますが、圧倒的に女性が多いとされます。

 

【症状はどこに出やすい?】

 舌の前3分の2に最も多く出現するとされます。次いで口蓋粘膜、口唇、歯肉、あるいは口腔内全体に及ぶこともあるとされますが、頬粘膜や口腔底では稀とされます。

 

【当院における対応】

 口腔粘膜に、症状に見合う所見の有無を診察の上、必要により口腔カンジダや唾液量減少の有無の精査、不安やうつの傾向があるか質問の検査の上、対応を検討いたします。

 

【参考】

・東京都歯科医師会雑誌 2022 Vol.70 口腔顔面領域に生じる第3の痛み 野間 昇

 

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院長 佐藤英和