(注意)こちらは、2021年6月発行の、院内広報キトキト第40号の記事の一部です。
こんにちは、6月になりました。
今月4~10日は「歯と口の健康週間」です。
歯や歯ぐきなどお口に特に痛みや気になる症状のない方も、歯科健診などを利用してお口のチェックを受けてみてはいかがでしょうか。
口腔粘膜においても、診察や健診で思わぬ症状が見つかることがあります。今回は、「口腔潜在的悪性疾患」について少しお話をします。
「口腔潜在的悪性疾患」は、2017年にWHO国際分類に記載され、12の疾患からなり、これらは口腔がんを発症する可能性が高いため、注意深い経過観察が必要とされています。12の疾患のうち、日本で比較的よく遭遇するとされるものには、次の①~⑤があるとされます。
①白板症(はくばんしょう)
①の白板症は、口腔がんを発症する(以下、がん化と省略します)確率は約7.7%とされ、白板症が発見されてから口腔がんになるまでの期間は平均5.6年とされます。
②紅板白板症(こうばんはくばんしょう)
②は日本では白板症の不均一な病態として考えられてきた経緯があり、①よりがん化の確率は上がりそうです。
③紅板症(こうばんしょう)
③もがん化率は40~50%とされます。
④口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)
④の口腔扁平苔癬は、がん化率は0~3.5%程度とされています。
⑤慢性カンジダ症
これらは必ずしも痛みを伴わないことがあり、歯科の診察で偶然見つかることもあります。ご自身でも「口の中が何か変だな」とお気づきの際は、痛くないからと放置しておかず、まず診察を受けることをご提案いたします。
参考:野村武史:口腔粘膜の腫瘍性病変 MB Derma 304 83-93,2021
最後までご覧いただきありがとうございました。
ひでかず歯科口腔外科クリニック
院長 佐藤英和