(注意)こちらは、2019年11月および12月発行の、院内広報キトキト第21・22号の記事の一部です。
こんにちは。11月になりました。
今回は、口腔粘膜から離れますが、大事なテーマで、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)と歯科の治療についてです。
ある患者様から、このようなお話をいただきました。
「骨粗鬆症に対して、飲み薬と、半年に1回の注射薬を受けているが、治療(抜歯かもしれません、と)が必要な歯があります。
受診中の歯科の先生からは『骨の治り方に影響が出るので、お薬を中止してもらってください』と言われました。
それを薬の処方医の先生に言ったら、『中止はできない。そんな歯医者はやめなさい』と言われてしまい、板挟みになってしまっています。」
というお話でした。
骨粗鬆症やその薬については割愛しますが、この患者様のお話でそれぞれの先生が懸念していることを推測すると、
*歯科の先生「抜歯や歯の治療後に、骨粗鬆症の薬の影響で、顎の骨が壊死してしまうかもしれない」
*処方医の先生「薬を中止して、骨密度が低下して骨折するかもしれない」
と、どちらの先生も、患者様のことを考えてのお話であることは間違いないと想像されます。
2016年に、医科・歯科の専門家の先生が集まり、「骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016」が作成されており、先生方の指標になるかと考えます。
お話の続きは次号以降にいたします。
以下、その次号です。
こんにちは。12月になりました。
今回は、前回の続きになります。骨粗鬆症の薬を使用する予定、あるいは使用している患者さんと歯科治療における注意事項の一例をまとめました。
【①骨粗鬆症の飲み薬・注射薬を始める前に】
歯科医師の先生には、骨粗鬆症の薬が始まる前、そのことをお伝えください。
そして、歯の治療がある場合は、薬の処方医の先生にそのことをお伝えください。
(処方医師と歯科医師とが連携をとることが一番理想です)
歯の治療がある場合は、薬が始まる2週間前には終了しておくのが望ましいです。
ただし、薬の適応の病状が深刻な場合は、やむを得ず骨粗鬆症の治療を優先する形にならざるを得ないこともあるかもしれません。
口の中に痛みなどがなくても、定期的に歯や歯ぐきのチェックを歯科で受けてください。
【②骨粗鬆症の飲み薬・注射薬をすでに始めている場合】
病状、お薬の種類、服用期間等によりますが、歯科治療(特に抜歯など、顎の骨に侵襲が加わる処置)に制限が出る可能性があります。
処方医の先生と歯科医師の先生、そして患者の皆様とで、どこまでの治療を目標とするかを打ち合わせすることが理想です。
そして、必ず定期的に歯科で歯や歯ぐきのチェックを受けてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
ひでかず歯科口腔外科クリニック
院長 佐藤英和